私たちを取り巻く事業環境は、昨今、地政学的なリスクの増大や予測困難な市場環境の変化に直面しています。こうしたなかにあっても、安全を最優先としたエネルギーの安定供給と、その低炭素化に向けた取り組みによって社会的責務を果たし続けることが、当社の最大の使命であると改めて認識しています。
当社グループは、従業員及びコントラクターを含む全ての人々の命と健康を守ることが最重要事項と位置付けています。2025年には残念ながら我々の操業する現場で重大事故が2件発生しましたが、この事実を真摯に受け止め、現場におけるHSE(健康・安全・環境)リスク管理の徹底、HSE教育、プロジェクトマネジメントを通じ、安全文化の醸成・強化に取り組んでいきます。
世界のエネルギー情勢に目を向けると、7~8年前に盛んだったエネルギー・トランジションの議論から、地政学リスクの顕在化やクリーンエネルギーのコスト高を背景に、エネルギーセキュリティ(エネルギーの安全保障)やアフォーダビリティ(世界中の人々がエネルギーへ量的・価格の両面から安定的にアクセスできること)を含めた視点が重視されるようになってきています。最近では特にイランにおける戦争によりエネルギーセキュリティの側面がさらに一層意識されるようになってきています。
このような状況下において、天然ガスはセキュリティとクリーンの双方を満足させるエネルギー源として、今後アジアにおいても需要が長期的に高まっていくことが予想され、当社としてもさまざまなLNGのプロジェクトに積極的に対応していこうと考えています。他方で、再生可能エネルギーや水素に代表されるクリーンエネルギーやCCS※1についても、今回のエネルギー危機を背景としてその重要性はますます増大していくものと考えます。すなわち、再生可能エネルギー、水素、アンモニアなどのクリーンエネルギーは、従来は気候変動対策の面からのみ語られていたわけですが、たとえば、乗用車におけるガソリン車からEVへのシフト、船舶燃料における重油からLNG、メタノール、アンモニアなどへのシフトは、特定の化石燃料に過度に依存せず燃料の多様化をすすめるというエネルギーセキュリティの観点からも十分に正当化されるものです。さらに、CCSは化石燃料の使用が長期的に続くとした場合のCO2削減の切り札としてその存在価値を高めるものと考えています。このような認識のもと、我々は天然ガス・LNGの供給拡大とともに再生可能エネルギーやクリーン水素製造、CCSの活用を含めた持続可能なエネルギー供給を通じて、増加する需要への対応を進めてまいります。
気候変動対応は社会全体にとって極めて重要な課題であり、継続的かつ着実な取組みが不可欠です。当社はエネルギー・トランジションをリスクではなく、成長機会や価値創出の源泉と捉え、2035年までの温室効果ガス(GHG)排出原単位60%削減を目標に掲げるとともに、増加するエネルギー需要への対応との両立を目指した取り組みを進めていきます。
海外事業においては、安全・安定操業を推進するとともに、オーストラリア北部におけるCCSプロジェクトを概念設計段階へと進め、地域の低炭素化に向けた具体的な貢献を形にしつつあります。また、再生可能エネルギーや電力分野においても、パートナーとの協業を通じて着実に事業基盤を拡大しています。
国内においては、首都圏CCSプロジェクトの推進、日本初となる柏崎水素パークの試運転開始、また、電力及び周辺事業分野における新たな取り組みも始めています。
これらは、エネルギーの安定供給と低炭素化を同時に実現していくための重要な一歩であると考えています。
最後に、当社の事業は、事業を展開する地域社会の皆さまのご理解とご協力なくして成り立ちません。
私たちは、地域社会との対話を重ね、いただいたご意見に真摯に向き合いながら、地域の発展と調和した事業活動を行うことが、持続可能なエネルギー供給の基盤であると考えています。
今後も、地域社会の一員として責任ある行動を積み重ね、信頼されるパートナーであり続けるよう努めてまいります。
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※1Carbon dioxide Capture and Storage:二酸化炭素回収・貯留