サステナビリティ推進体制

当社は、エネルギーの安定供給とエネルギー・トランジションへの取組みを両輪で推進し、事業やバリューチェーンを通じて気候変動をはじめとしたサステナビリティの課題に取り組むことを、サステナビリティ経営の基本的な考え方としています。この考え方のもと、当社及び当社のステークホルダー双方にとって重要度の高いサステナビリティに関するマテリアリティ(重要課題)を中心にサステナビリティ経営を実践しています。

ガバナンス

組織体制

当社のサステナビリティ推進のためのガバナンス体制図は、以下のとおりです。

組織体制

2026年4月1日時点

  • 1
    IVAS(INPEX Value Assurance System)審査会:プロジェクトの価値向上及び推進に関する当社の意思決定に資することを目的とした審査会。詳細は、IVAS(INPEX Value Assurance System)審査会をご覧ください

サステナビリティ関連の課題に対する監督機能としての取締役会

取締役会は、グループ全体のサステナビリティ関連のリスク及び機会に対応するための経営戦略をはじめ、中長期的な企業価値の向上に向けた取組み監督機関として責任を負っており、取締役会は、当社グループの重要なサステナビリティ課題を監督する立場にあります。取締役会メンバーは、サステナビリティ分野のスキルを有しています。詳細は、「コーポレートガバナンスの取締役及び監査役のスキルマトリックス」に記載しています。また、取締役会メンバーの知見向上の取組みとして、社外有識者による講演・意見交換会を実施し、サステナビリティに関連する世間動向や課題に対する知見を深めています。

取締役会では、定期的にサステナビリティに関するリスク及び機会に関する議題について、世界動向や事業とのトレードオフなど多角的な面から議論がなされています。2025年度には、全15回開催された取締役会中13回でサステナビリティに関する議論が行われました。

サステナビリティに関連する目標については、年1回取締役会で報告されます。また、当社は、特に重要性が高い目標について、当社の代表取締役をはじめ全ての取締役(社外取締役を除く)の報酬のKPIとして採用しています。短期インセンティブである賞与については、取締役(社外取締役を除く)を対象に、KPIとして安全指標(重大な事故ゼロ※1)を採用しています。中長期インセンティブである株式報酬については、取締役(社外取締役及び国内非居住者を除く)及び執行役員(国内非居住者を除く)を対象に、KPIとして温室効果ガス(GHG)排出原単位を採用しています。なお、管理指標の詳細は、以下のとおりです。

賞与のKPI 評価ウェイト
財務指標 当期利益 45%
探鉱前営業キャッシュフロー 45%
非財務指標 安全指標(重大な事故ゼロ) 10%
株式報酬のKPI 評価ウェイト
財務指標 当期利益 30%
探鉱前営業キャッシュフロー 30%
ROE 10%
ROIC 10%
総還元性向 10%
非財務指標 GHG排出原単位 10%
  • ※1
    死亡事故、重篤負傷、重大漏えい(PSE Tier1)

業務執行体制

経営会議

サステナビリティを含む業務執行の決定に関しては、意思決定の迅速化の観点から、経営会議を設置し、取締役会の決議事項に属さない事項についての機動的な意思決定を行うとともに、取締役会の意思決定に資するための議論を行っています。経営会議は、毎週ないし適宜開催されます。当社の経営会議は、常勤の取締役、本部長である執行役員及び議長が必要と判断し、経営会議の決議によって選任された執行役員をもって構成されています。経営会議の議長は、代表取締役社長が務めることとしています。

代表取締役社長ならびに各部門及び子会社

代表取締役社長は、責任者として当社グループを代表し、当社グループのサステナビリティを含む業務を執行します。また、本部長または担当役員である執行役員は、委嘱された特定の部門及び子会社に係る業務を執行します。 委嘱された特定の部門及び子会社に係る各業務執行者は、サステナビリティ関連事項についての各種施策・取組みの進捗を管理し、経営会議に報告しています。

サステナビリティ推進委員会

当社グループの社会的責任を果たし、社会の持続可能な発展に貢献する取組みを推進することを目的としてサステナビリティ推進委員会を設置しています。本委員会は代表取締役社長を委員長とし、代表取締役、総務本部長、経営企画本部長、コンプライアンス委員会委員長、コーポレートHSE委員会委員長から構成され、サステナビリティに関する基本方針、同推進に関する重要事項などを審議しています。サステナビリティ推進委員会で議論された内容は、経営会議・取締役会でも決議・報告されています。また、サステナビリティ推進委員会の下部組織として、各本部の実務者レベルで構成するサステナビリティ推進ワーキンググループ及び気候変動対応推進ワーキンググループを設置し、全社横断的な協議推進体制を整備しています。

主な議題
  • サステナビリティ経営の実績と取組み方針
  • 当社グループのマテリアリティ(重要課題)
  • 「気候変動対応の基本方針」の改定
  • 気候変動関連リスク及び機会の評価
  • 人権の対応状況と今後の取組み
  • 非財務情報のガバナンスとマネジメント
  • 社会貢献活動計画

その他の業務執行に係る委員会

「サステナビリティ推進委員会」のほか、各種施策を推進する委員会として、「コンプライアンス委員会」、「コーポレートHSE委員会」、「情報セキュリティ委員会」及び「IVAS審査会」をそれぞれ設置しています。2025年度における各委員会の概要及び活動状況は、以下のとおりです。

1. コンプライアンス委員会

グループ全体として一貫したコンプライアンスの取組みを推進することを目的として、コンプライアンス委員会を設置しています。本委員会はコンプライアンス担当役員を委員長とし、総務本部長、経営企画本部長、財務・経理本部長、技術統括本部長、国内事業本部長、HSE担当役員、海外事業統括、リーガルユニット・ジェネラルカウンセル、DE&I推進ユニット・ジェネラルマネージャー、社外弁護士及びコンプライアンス担当役員が指名する委員から構成され、コンプライアンスに関わるグループの基本方針やコンプライアンス施策の策定及び実施のモニタリング、年度活動計画の策定、重要事項の決議など、コンプライアンス実践状況を管理しています。2025年度は8回開催しました。さらに、委員会と職場との連携を確保するため、コンプライアンス推進管理者及び推進担当者を各職場に配置しており、コンプライアンス委員会の事務局であるコンプライアンスユニットは、コンプライアンス推進担当者との連絡会を定期的に開催し、コンプライアンス意識の浸透・深化に努めています。

2. コーポレートHSE委員会

HSE担当役員を委員長とし、委員は常設組織の本部長・当社役員で構成され、当社グループのHSE管理推進に関する基本方針や重要事項を審議しています。 具体的には、当社グループ全体で取り組むべきHSEに係る中期計画、重点目標、プログラム、HSE監査による実情の把握・評価及びHSEマネジメントシステムの維持、見直し、改善状況を審議するとともに、HSE担当役員はマネジメントレビューを通して必要な是正、見直し措置を中長期の重点目標、プログラムなどへ反映するように諮ります。HSE委員会で審議された重要事項は、経営会議にて決議、その後取締役会にて決議・報告されます。2025年度は4回開催され、HSE重点目標や前年度の重大事故・負傷事故の原因・傾向分析、当期上半期HSEパフォーマンス、HSE管理施策の進捗などが決議・報告されました。

また、コーポレートHSE委員会の下部組織として、各本部の実務者レベルで構成する環境WG及びセーフティWGを設置し、全社横断的な協議推進体制を整備しています。2025年度は、環境管理WGが各事業体と1~2回開催され、TNFD※2への対応や廃棄物の処理状況、メタン排出管理などに関する議論が交わされました。また、セーフティWGは計15回開催され、全社的な安全に関する課題や安全パフォーマンス向上に向けた議論が交わされました。その結果、事故の背景要因を捉える視点や分析の考え方について共通認識を形成するとともに、事故に関する情報の活用のあり方について整理を行い、安全パフォーマンス向上のための基盤強化に取り組みました。

  • ※2
    Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務情報開示タスクフォース

3. 情報セキュリティ委員会

情報セキュリティの維持・管理及び強化に必要な各種施策の検討及び決定を行うことを目的として、情報セキュリティ委員会を設置しています。本委員会は情報セキュリティ最高責任者である技術統括本部長を委員長とし、情報セキュリティに関わる基本方針や重要事項を審議し、情報セキュリティに関する事故が発生した場合の対応及び再発防止策なども管理しています。2025年度は2回開催しました。

4. IVAS(INPEX Value Assurance System)審査会

当社が参画する主要なプロジェクトの重要な節目において、その準備状況を確認し、プロジェクトの価値向上及び推進に関する当社の意思決定に資することを目的として、IVAS審査会を設置しています。本審査会は技術統括本部長を審査会長として、新規プロジェクトの取得、既存プロジェクトについても、探鉱、評価、開発などの各フェーズにおける技術的な評価などを組織横断的に行っています。2025年度は16回開催しました。

戦略

当社は、「経営理念」を踏まえた「サステナビリティ憲章」を定め、当社グループ及び当社グループのステークホルダーの双方にとって重要度の高いサステナビリティに関するマテリアリティ(重要課題)を特定しています。当社グループのマテリアリティは、環境・社会が当社グループに与える財務影響及び当社グループが環境・社会へ与える影響を勘案の上、特定しています。特定された6つのマテリアリティのうち、「気候変動対応」、「セーフティ」及び「人的資本」は、環境・社会が当社グループに与える財務影響が重大であることより財務マテリアリティとして選定しています。当社グループは、マテリアリティごとに当社グループが優先的に行うべき課題について「アクションプラン」を定めた上で、当社グループの各部署のPDCAサイクルに組み込み、継続的に改善に取り組んでいます。

INPEXのマテリアリティとアクションプラン

当社グループのマテリアリティとマテリアリティに対するアクションプランは、下表のとおりです。

INPEXのマテリアリティ
マテリアリティ アクションプラン
気候変動対応 気候変動対応目標達成の推進
天然ガス/LNG事業の拡大
低炭素ソリューションの取組み
電力事業とその周辺分野での事業展開
セーフティ 重大災害防止
労働安全衛生の確保
人的資本 エンゲージメントの強化とDE&Iの推進
人権 人権の尊重
地域社会(先住民)との共生・発展
サプライチェーンリスク管理
生物多様性 生物多様性の保全
環境汚染対策 環境汚染対策の取組み

これらのアクションプランは、当社のPDCAサイクルに組み込み、継続的に改善がなされるようになっています。また、ガバナンスは、企業の運営や意思決定、リスク管理に極めて重要な要素であり、強固なガバナンス体制はマテリアリティへの取組みを支え、当社の持続可能な成長を実現するための重要な要素として認識しています。

ガバナンス体制の維持・強化のための具体的な取組みとしては、コーポレートガバナンス体制の強化、リスクマネジメント体制の強化法令遵守及び贈収賄・汚職防止の3つのアクションプランを設定しています。各アクションプランの進捗については、「マテリアリティに基づくアクションプランの進捗」をご覧ください。

マテリアリティ評価のプロセス

具体的な評価プロセスは、以下のとおりです。

1. 自社のバリューチェーンとビジネスの理解

以下の社内の公表物・内部資料などを通じて、当社のバリューチェーンやステークホルダーを整理しました。

  • 有価証券報告書
  • INPEX Vision 2035
  • 過去のマテリアリティ評価結果
  • サステナビリティに関連する各種方針
  • 人権デューディリジェンスの評価結果
  • ステークホルダーエンゲージメントの結果

2. トピックリストの作成

以下の各種レポーティングガイドラインなどを参照し、当社グループに関連し得る課題を網羅的に抽出し、トピックリストを作成しました。

  • GRI(Global Reporting Initiative)Standards
  • ESRS(European Sustainability Reporting Standards)
  • SASB(Sustainability Accounting Standards Board)Standards: Oil & Gas–Exploration & Production
  • ISSB(International Sustainability Standards Board)基準
  • TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)
  • TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)
  • Ipieca Sustainability reporting guidance for the oil and gas industry
  • 同業他社の開示資料

3. IROの定義

各課題と、当社グループのバリューチェーンとビジネスを照らし合わせ、短期・中期・長期に起こり得るIRO(インパクト、リスク、機会)を定義しました。

4. 評価基準の設定とスコアリング

当社グループのマテリアリティは、環境・社会が当社グループに与える財務影響及び当社グループが環境・社会へ与える影響を勘案の上、特定しています。具体的には、当社グループの財務見通しに影響を与えるサステナビリティ関連のリスクと機会について、発生可能性及び財務影響の大きさにて評価するとともに、当社グループの活動が環境・社会に与えるインパクトについても発生可能性及び影響深刻度の大きさにて評価の上、マテリアリティを特定しています。
発生可能性の評価軸については、当社グループや同業他社の過去の発生件数など、国や事業別のレーティングを参考に設定しています。

5. ステークホルダーエンゲージメント

当社グループが取り組むべき課題に対するステークホルダーの期待・関心事項を確認するため、社内外のステークホルダーへアンケート・意見の聴取を行いました。ステークホルダーには、当社グループの全役職員・投資家・同業他社が含まれます。

調査の結果、当社グループにとって重要な課題の内部評価と外部ステークホルダーの見解が一致していることがわかりました。

6. 優先課題の特定

「評価基準の設定とスコアリング」で算定されたスコアを基にマッピングを行い、優先的に取り組むべき重要課題としてマテリアリティを特定しました。

特定されたマテリアリティは、当社グループのリスク管理プロセスに則り各部署の担当者から評価され、サステナビリティ推進ワーキンググループで議論されました。

7. マネジメントレビュー

マテリアリティは、サステナビリティ推進体制の主要委員会であるサステナビリティ推進委員会及び経営会議で決議され、取締役会に報告されています。マテリアリティは、毎年レビューの上、特定しています。

サステナビリティ関連のリスク及び機会

当社は、サステナビリティ関連を含む事業運営に関するリスクを適切に把握・管理するリスク管理体制の継続的な改善に努めています。損害の発生・拡大を未然に防止する体制を確立し、顧客、取引先、投資家などステークホルダーからの信頼の維持・強化を図り、企業価値の最大化を目指します。当社のリスク管理プロセスは、ガバナンスの「リスク管理体制」をご覧ください。また、個別のリスク及び機会と指標及び目標については、各マテリアリティパートをご覧ください。

リスク及び機会のトレードオフ

当社グループでは、各事業(石油・天然ガス上流事業、再生可能エネルギー事業及びCCS・水素事業)の各フェーズにおける技術的な評価及び環境・社会への影響評価を組織横断的に行う「IVAS審査会」の実施や各事業における経済性評価及びリスク評価を定期的に行うことで、財務マテリアリティにおけるトレードオフの低減に努めています。

時間軸

リスク及び機会の影響が生じると合理的に見込み得る時間軸については、当社グループが戦略的意思決定に用いる計画期間である中期経営計画に合わせて、「短期」を1年未満、「中期」を1年以上~3年未満及び「長期」を3年以上と定義しています。

レジリエンス

当社が2025年2月に発表した「INPEX Vision 2035」は、昨今の経営環境や社会情勢などの変化を踏まえつつ、2035年に向けた当社グループの長期的な戦略を示したものです。「INPEX Vision 2035」の達成に影響を与える不確実性が高いリスクについては、毎年見直しを実施するとともに、レジリエンス評価の結果は当社の戦略の策定やビジネスモデルの調整に活かしています。当社の見通しへの影響が大きい気候レジリエンスの詳細については、「気候レジリエンス」をご覧ください。

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