当社は、2050年ネットゼロに向けて、重要となるミティゲーション技術のうち、CCS/水素をコアとした低炭素化ソリューションや電力事業及びその周辺分野での事業展開に向けた新たな取組みを推進しています。
CCS/水素
ネットゼロへの移行には、地域ごとの事情や移行の段階に応じて適切な手段を選択することが重要です。再生可能エネルギーの導入に加え、既存の石油ガス施設へのCCS導入や水素/アンモニアの活用なども、現実的な移行への道筋となると考えています。当社は石油・天然ガスの安定供給の強化を図るとともに、2050年ネットゼロの実現を目指しています。地下資源開発で培った当社の技術と豊富な経験を活用し、温室効果ガス(GHG)排出削減の手段を提供することで社会のニーズに答えるとともに、CCS、水素/アンモニア事業は、当社にとって重要な事業と位置付けています。
当社グループは「INPEX Vision 2035」に基づき、2035年までに天然ガス/LNGプロジェクトとCCSを組み合わせたGHG排出削減を目指し、低炭素化事業を推進しています。また、CCS/水素をコアとしたGHG排出削減ソリューションを第三者に提供し、新たな収益源の創出を目標に掲げています。
目標達成への具体的な取組みとして、海外におけるCCS事業では、オーストラリアにおいて年間1,000万トン以上の貯留ポテンシャルを有するボナパルトCCSプロジェクトのPre-FEED(概念設計)を開始し、事業化に向けた各種検討を進めています。本プロジェクトは、2025年7月にオーストラリア国内のCCSプロジェクトとして初めてMajor Project Status(国家重要プロジェクト認定)を受けた有望な事業です。一方、国内で推進する首都圏CCS事業においては、首都圏CCS株式会社を設立し、事業化に向けた調査や設計作業を進めています。事業化後は年間約120万トンのCO2地下貯留を見込んでおり、将来的には年間約500万トンまで地下貯留を拡張することを見据えています。
また、水素関連事業では、新潟県柏崎市で取り組んでいる柏崎水素パーク(ブルー水素・アンモニア製造・利用一貫実証試験)は、2025年6月に天然ガスを導入した試運転を開始し、同年11月には開所式を実施しました。実証運転後は年間約700トンの水素を製造、約5,500トンのCO2地下貯留を見込んでおり、実証試験を通じて水素・アンモニアの製造から利用にわたるサプライチェーン全体の技術と経験を蓄積し、国内外で低炭素化事業の先駆者となるための実績の獲得を目指しています。
今後もクリーンエネルギーとGHG削減ソリューションの提供を事業上のチャンスとして捉え、ネットゼロに向けて取り組みます。
再生可能エネルギー・電力ソリューション事業
総合エネルギー開発企業として、電力関連分野での事業展開を目指しています。再生可能エネルギーに蓄電池やクリーンガス火力発電といった調整電源を組み合わせ、クリーンかつ高付加価値な電力供給体制の発展に貢献します。また、電力供給システムを支えるために必要となる石油・天然ガス以外の地下資源回収にも挑戦しています。
国内では、秋田県小安地域で地熱発電事業の2027年度中の運転開始に向けた建設工事を進めているほか、2024年6月より当社がオペレーターとして主導する北海道標津郡標津町尖峰周辺地域において地熱資源調査井掘削に向けた作業を継続しています。また、長崎県五島市沖における国内初の浮体式洋上ウィンドファーム(五島洋上ウィンドファーム)が2026年1月に商用運転を開始しました。さらに、2025年10月には当社が協力企業として参画するコンソーシアムが、栃木県日光市湯西川ダム新水力発電所設置・運営事業の事業候補者として、国土交通省関東地方整備局鬼怒川ダム統合管理事務所より特定されました。
海外では、オーストラリアにおいて当社グループ及びイタリアの大手電力・エネルギー企業であるENEL社が共同出資する再生可能エネルギー子会社Potentia Energy(旧Enel Green Power Australia)社が、2025年2月にインフラファンド運用会社などと資産譲渡契約を締結し、同国全土で合計1GWを超える再生可能エネルギー資産を取得しました。また、風力分野では、オランダ・英国にて計3か所の洋上風力発電所が稼働しています。地熱分野ではインドネシアの3か所の地熱発電事業が稼働していますが、2025年1月にムアララボ発電事業において既設発電設備と同規模の拡張開発の最終投資意思決定(FID)及びプロジェクトファイナンス契約締結を行いました。
当社グループでは現在、ヨーロッパにおける洋上風力発電やインドネシアの地熱発電、オーストラリアでの太陽光・陸上風力発電を含め、国内外で持ち分容量として約780MWの再生可能エネルギー電源を保有しています。電力バリューチェーン全体で収益を獲得するべく、安定した電源ポートフォリオ確立、電力ソリューションの取組みによる高付加価値化や当社グループ既存事業(ガス、水素アンモニア、CCSなど)とのシナジー創出に向けて取組みを進め、2050年のネットゼロ達成へ貢献します。