2025年度の活動実績
当社グループは、エネルギーの安定供給を担う企業として、地域社会との強固な信頼関係の構築はSocial License to Operate(地域社会やステークホルダーからの社会受容)を保持するための基盤であると考え事業を展開する地域における社会(文化など)及び経済の発展に資する取組みを対象として投資を行うことを「社会貢献活動の基本方針」に定めています。こうした方針は当社の経営戦略と整合したものであり、重点分野としては「環境」、「教育・次世代育成」、「地域社会支援」、「芸術・スポーツ」を設定し、社会貢献投資を行っています。
2025年度は、これらの取組みを通じて、約30億円の社会貢献投資を行いました。
日本
日本での社会貢献活動は、ステークホルダーとの対話を通じ、社会的課題の解決や地域社会の発展に資する社会貢献活動を「環境」、「教育・次世代育成」、「地域社会支援」、「芸術・スポーツ」に重点を置き実施しています。2025年度に実施した主な取組みは以下のとおりです。
1 障がい者スポーツ支援
ブランドメッセージ「地球の力で未来へ挑む」のもと、障がいを問わず誰もが活躍できる社会を目指し、日本パラスポーツ協会(JPSA)とのオフィシャルパートナー契約や、デフビーチバレーボール協会への協賛、デフリンピック100周年を記念した「第25回夏季デフリンピック競技大会 東京2025」のトータルサポートメンバーとしての協賛契約を通じて、障がい者スポーツの振興に貢献しています。また、障がい者サッカー連盟(JIFF)のインクルーシブ教育プログラムにも協賛しています。このプログラムは、障がい者スポーツの工夫や価値を小・中学生に体験型授業として伝えていくものです。
2 社内募金
従業員有志によるINPEX社内募金を行っています。INPEX社内募金では、毎年従業員が選定した団体に対して、給与天引き方式で寄付が行われ、従業員が寄附した金額と同額を会社がマッチング募金として支援します。募金先としては「環境」「教育・次世代育成」「地域社会支援」を活動テーマとしたNGO・NPO団体が選定されています。
3 教育・次世代育成(芸術分野)への取組み
これまで数多くの有望な新人音楽家を世に送り続けてきた「第94回日本音楽コンクール」や、東京国際フォーラムを中心に開催される音楽イベント「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2025」に協賛しています。
4 南阿賀鉱場・長岡鉱場での取組み
南阿賀鉱場では、地元中学生と協業し、阿賀野市下黒瀬地区の道路花壇への種まきを実施しています。また、長岡鉱場では、農業関係者や関係団体と協業し、越路原プラント周辺のごみ拾いや花壇の整備を実施しています。
5 直江津LNG基地での取組み
直江津LNG 基地では、石油・天然ガスの誕生から私たちの生活に届くまでを映像で見せる基地内見学施設「INPEX MUSEUM」と、LNGタンクなど設備見学を組み合わせて、行政や地元住民、企業などからの社会見学の期待に応えています。2025年度は、地域の八千浦小学校3年生に対して基地見学、6年生に対して出前授業、そのほか市内の柿崎小学校4年生や直江津中学校1年生に対して基地見学会を実施しました。また、環境保全団体が主催する海岸清掃活動への参加や、事業所の近隣道路におけるごみ拾い・草刈りなど、地域の一員として美化活動に取り組んでいます。
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デフリンピック2025ビーチバレーボール大会の様子
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ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2025の開催風景
オーストラリア
INPEX Australiaは社会貢献活動を通じて、事業を展開する地域社会の持続可能な社会的・経済的発展に貢献することを目指します。加えて、地域社会におけるステークホルダーとの信頼関係構築及びSocial License to Operateの維持、ブランド向上、またINPEX Australiaで働くことを誇りに思う多様な人材の確保・維持など、多くの事業目標を掲げています。
オーストラリアにおける地域社会投資戦略では、社会投資の一環として、地域社会に貢献する自発的な活動を実施するためのアプローチを定めています。この戦略には、社会貢献活動を通じ社会的効果を生み出すための枠組みとして、教育と訓練、健康と福祉、地元企業及びコミュニティ・パートナーの能力開発、地域社会のつながり合いといったテーマごとに、戦略的優先事項、対応、関与するステークホルダー及び活動内容、ならびに目指す成果の概要をまとめています。さらに、先住民、若年層、地元企業、そして事業を行う地域のより広範な地域社会を支援するプログラムに対し優先的に資金を提供しています。2025年度は、小規模な協賛金からより戦略的な社会貢献事業を含め、60件以上のプログラムを支援しました。重点分野別の支出額内訳は以下の図のとおりです。
また、スポンサーシップを通じた地域のイベントなどの支援や、被災したコミュニティの災害救援などといった重要な活動に寄付を提供しています。加えて、従業員のボランティア活動、地域団体のためのキャリア指導、能力開発、有償の広告・宣伝機会の提供などを通じた支援も行っています。
INPEX Australiaは引き続き、地域社会に有意義で長期的な利益をもたらすため、戦略的な社会貢献事業の構築と拡大に注力していきます。また、社会貢献活動を支えるガバナンスとその成果測定の枠組みを強化するための取組みを進めています。
また、地域社会のニーズや期待の変化を踏まえつつ、INPEX Australiaの取組みが戦略的優先事項や事業活動と引き続き整合するものとなるよう、2026年に地域社会投資戦略の見直しを行います。これにより、重点分野に即した、意義のある持続可能な成果への貢献を目指します。
2025年度におけるINPEX Australiaの自主的地域社会投資(成果分野別)
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Stars Foundation及びClontarf Academyのプログラムに参加する先住民学生を招いたイクシスLNG陸上施設の見学ツアー
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チャールズ・ダーウィン大学のRadicle Centreを支援する新たな社会貢献事業の開始
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北部準州博物美術館とのSTEAMプログラム支援の中でのフィールドトリップの様子
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2025年における、西オーストラリア大学を通じた先住民民奨学金支援10周年記念行事
ケーススタディ:Hoops 4 Healthとのパートナーシップ
2025年7月、INPEX AustraliaはHoops 4 Healthとの新たな社会貢献事業を開始しました。これは、スポーツを通じ、北部準州全域の若者が前向きな影響を受け、自らの力を伸ばしていけるよう支援するアカデミー・プログラムを支えるものです。
このアカデミーでは、バスケットボール、神経科学、そして先住民の知見を組み合わせ、若者の心の強さを育て、心身の健康を高めるとともに、地域社会に希望ある未来を広げることを目指しています。プログラムには、研究に基づいた独自の考え方が取り入れられています。
対象は10~16歳の若者で、毎週行われるセッションは、体を動かすことだけを目的としたものではありません。Hoops 4 Healthのララキア・コーチを含む先住民のメンターが指導にあたり、参加者自身の経験と、心のケアを重視したコーチングを組み合わせながら、安全で誰もが受け入れられる環境のなかで、成長や心の健康、そして文化とのつながりを大切に育んでいます。
「バスケットボールの一定のリズムでのバウンドを通じて、動きや繰り返しの感覚を身に付けます。これは、脳と“癒しを大切にするスポーツ”を結び付ける方法の土台となります。さらに、“相手の話を丁寧に聴く”という姿勢を組み合わせることで、このコーチングとメンタリングは、若者に長期的でポジティブな影響を与えます。」とHoops 4 Healthの創設者兼CEOであるティミー・ドゥガンは説明します。
この社会貢献事業を通じて、当社グループは、ダーウィン郊外に所在するHoops 4 Healthトレーニング施設における週2回の追加セッションへの資金提供を行い、アカデミーの取組みの拡大を支援しています。当社グループはHoops 4 Healthとともに、次世代が自信やリーダーシップ、そして地域とのつながりを育むことができるよう支援しています。
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Hoops 4 Healthアカデミー・プログラムの様子
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Hoops 4 Healthアカデミー・プログラムの様子
インドネシア
インドネシアのアバディLNGプロジェクトにおいては、環境や伝統文化の保全、経済的機会の創出など、タニンバル諸島県を中心としたプロジェクト立地地域のコミュニティの持続的な発展に貢献すべく、2009年度からさまざまな活動を行ってきました。活動は、ステークホルダーとの対話を通じて地域のコミュニティのニーズを把握し、中長期的な視点で戦略的に策定したSocial Investment Strategyで取り上げた5分野((1)教育、(2)公衆衛生、(3)経済力強化、(4)環境、(5)戦略的社会貢献)に重点を置き実施しています。2025年度に実施した取組みは以下のとおりです。
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<教育プログラム>STEMコンペティションに参加したサムラキの高校生との集合写真
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<公衆衛生プログラム>栄養に関する啓発活動
教育プログラム
タニンバル諸島県のLelemuku Saumlaki Universityの学部生30名及び博士号取得を目指す講師2名、マルク州アンボンのPattimura Universityの学部生98名及び博士号取得を目指す講師2名に奨学金を支給しました。
また、Pattimura Universityの奨学金受給者を対象に、指定されたテーマに関する思考力と分析力の向上を目的とした作文コンテストを開催しました。
このほかにも、教育の質向上に対するコミットメントの一環として、現地小学校の活性化支援、サムラキの高校生13名の科学、技術、工学、数学(STEM:Science, Technology, Engineering, and Mathematics)コンペティションへの参加を支援しました。
公衆衛生プログラム
地域保健センターや地元行政と連携し、栄養に関する啓発活動、妊婦や乳幼児への健康診断、栄養失調児への補助食支援などを行いました。
さらに、清潔な水へのアクセスを確保するための第一歩として貯水・給水施設の保守管理などを地域コミュニティ内で完結することができるように、地域住民による水管理チーム(Community-based clean water management team)づくりをサポートしました。
経済力強化プログラム
2025年は、地域社会と連携し、持続可能な農業の取組みを実施しました。生産性向上を支援するため、プログラム支援対象の2つの農家グループに種子と農業用栽培機器を配布しました。さらに、地元生産者に対し、地域住民の主食であるバナナとキャッサバを加工し、健康的なスナックとして販売するための研修を行いました。
さらに、地域社会における文化的価値の保全、特にタニンバル・イカット織(伝統織物)とティファ・タニンバル(伝統楽器)の生産を支援しました。
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タニンバル・イカット織(伝統織物)
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キャッサバを加工したスナック
環境保全プログラム(植林プログラム、ビーチクリーンプログラム、塗り絵コンテスト)
地元行政やNGOと連携し、マングローブの植樹活動を行いました。また、地域住民と連携したビーチクリーン活動や、ゴミの回収・適正処理にも取り組みました。さらに、子どもたちの環境意識向上のため、世界環境デーを記念した塗り絵コンテストを開催しました。
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子どもたちとのごみ拾い活動
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植林プログラムの様子
戦略的社会貢献
宗教、教育、スポーツ、青少年育成などの分野における地域社会グループの活動支援の一環として、これらのグループにスポンサーシップや寄付を行い、企業と地域社会との良好な関係構築に努めました。また、2025年はスマトラ島における災害救援活動において、SKK Migasとの共同プログラムを支援しました。
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スマトラ島における災害救援活動
アブダビ
アブダビでは、当社子会社であるジャパン石油開発株式会社(JODCO)を通じてアブダビ首長国文化観光局との契約に基づき協賛しているteamLab Phenomena Abu Dhabiが2025年4月にオープンしました。JODCOはアブダビの青少年に彼らの好奇心やイマジネーションを育む機会を提供すべく、同ミュージアムに小学生・中学生を招待する取組みを開始しており、今後も本取組みを継続していきます。
また、日本とUAEの文化交流の架け橋となることを目的に、2004年以来アブダビ国際狩猟・乗馬展示会(ADIHEX)に出展し、日本に古くから伝わる鷹狩文化をはじめ、刀鍛冶、飴細工、茶道などの日本文化を紹介しています。
ノルウェー
当社の子会社である株式会社INPEXノルウェーは、現地法人INPEX Idemitsu Norge AS(IIN)とムンク美術館の間でスポンサーシップ契約を締結しています。IINは前身であるIdemitsu Petroleum Norge ASの時代から30年以上にわたって同館へのスポンサー活動を継続しています。IINからの寄付金は同館の拡張や修繕、ノルウェーが輩出した著名画家であるエドヴァルド・ムンクの絵画である「叫び」と「マドンナ」の修復など、いくつかの主要プロジェクトの実現に貢献しています。
カザフスタン
当社子会社である株式会社INPEX北カスピ海石油(INCS)は、参画するカシャガンプロジェクトにおいて、アティラウ州及びマンギスタウ州における教育・医療・文化などに関するインフラ施設の整備を支援し、両州における地域社会の持続可能な発展を促進するための資金提供や支援活動を実施しています。
このほかに、INCS独自の取組みとして、以下の社会貢献活動を実施しています。
まず、2025年7月、AYALA Charity Foundationと提携して、アティラウ市新生児医療センターに対して新生児用の医療機器を寄贈しました。同医療センターでは新生児の黄疸を非侵襲的に測定するための医療機器2台及び新生児用光線療法ランプ6台を導入し、新生児医療の質を向上させることを目指しています。
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贈呈式の様子
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児童の実習風景
また、人材育成事業の一環として、2025年9月にカザフスタン国営石油会社KazMunayGasの中堅社員7名を日本に招待し、CCS/CCUSをテーマにした約2週間の研修を開催しました。本研修では、東京大学の辻教授(工学系研究科システム創成学専攻)を主な講師として招聘し、CCS/CCUSに関する講義を行ったほか、当社施設を含む複数の実証実験地への現場見学などを実施しました。カザフスタンが掲げる2060年までのカーボンニュートラル達成に、人材育成の面からも貢献します。
さらに、2025年9月以降、NPO法人Caravan of knowledge、Kumon Institute of Education Co., Ltd及び Chevron Munaigas Inc.と提携し、アスタナ市の小学校2クラスに対して、公文式学習に関するパイロットプロジェクトを実施し、カザフスタン国民の教育水準の向上に寄与することを目指しています。
これらの取組みを通じて、当社グループはカザフスタンにおける地域社会の発展と福祉向上に貢献しています。
その他財団を通じた支援
公益財団法人INPEX教育交流財団
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2025年INPEX教育交流財団 年末交流会
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青少年国際交流事業への参加者集合写真
本財団は1981年3月の設立以来、インドネシア、オーストラリア、UAEと日本の留学生の交流を通じて、相互理解・友好・親善の促進に取り組んでいます。2026年3月末現在、これら3か国から日本で修士号を取得する外国人留学生155名、日本から3か国への留学生73名に奨学金を提供しました。奨学生の多くは、留学中に取り組んだ研究分野を通じて、それぞれの母国と日本との友好・親善に貢献しています。
さらに2025年度からは、海外の大学から日本の大学へ留学する学生を支援する「交換留学生奨学金事業」と、インドネシア、オーストラリア、UAEの高校生を日本に招き、日本の高校生と交流する「青少年国際交流事業」を開始し、高校生・大学生の交流を一層推進しています。
一般財団法人INPEX JODCO財団
本財団は、JODCOのアブダビ事業が50周年を迎えるに際し2022年末に設立され、教育・環境・文化の3つの分野に重点を置き、社会貢献活動を実施しています。
教育分野では、アブダビ国営石油会社(ADNOC)とともにアブダビの小学校での公文式算数学習の実施を支援しています。
環境分野では、2025年に締結したアブダビ環境庁との覚書に基づきマングローブ生態系における炭素固定能力に係る共同研究を実施しているほか、2023年度から環境教育プログラムを実施し、アブダビ日本人学校の生徒などを対象にマングローブの植林体験を実施しています。また、2025年10月にアブダビで開催された国際自然保護連合主催世界自然保護会議2025の機会を捉え、ハーリド・ビン・ムハンマド・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン・アブダビ皇太子殿下の後援のもと、アブダビ環境庁と、日本及びUAEアブダビ首長国におけるハヤブサをはじめとする猛禽類の保全活動・文化的協力を共同で推進することに合意し、日本でのハヤブサの人工巣設置やモニタリングカメラによるハヤブサの繁殖行動・生息状況の調査を開始しています。
文化分野では、2023年度から、Emirates Falconers’ Clubとともに、日UAE鷹狩文化交流支援事業を実施しており、アブダビ日本人学校に鷹狩文化体験を提供するとともに、日本の鷹匠のUAE派遣と、UAEの鷹匠の日本で受け入れを実施、日本の鷹匠とUAEの鷹匠との交流を推進しています。
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アブダビ環境庁との調印式の様子
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鷹狩文化体験