先住民との協調活動計画
当社は、オーストラリアにおいて、先住民と協力して持続可能で互恵的な関係を築くために、先住民協調活動計画(Reconciliation Action Plan:RAP)を定め、実行しています。
RAPは、INPEX Australiaが事業を展開する地域社会において、先住民との協調関係を促進するための実践的な行動計画を定めたものです。2025年度は年間を通じて、先住民コミュニティとの信頼関係をさらに深め、地域社会に持続可能な社会的・経済的成果をもたらすためのさまざまなコミットメントを含む、「先住民協調活動計画(RAP)2023-2025」を引き続き実施しました。RAPの実施は、RAP運営委員会の監督下にあるRAPワーキンググループによって推進され、実施状況については社内外で定期的に共有※1しています。さらに、INPEX Australiaは2026年以降の新規RAPの策定を進めており、今後3年間にわたり、先住民コミュニティとの関与や協働の在り方を強化し、持続可能な成果への貢献を図るための指針とする予定です。
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ケーススタディ1:アーネムランド北西部における保全地域の設置
北部準州・アーネムランド北西に位置するビニンジにおいて、伝統的に所有されてきた土地及び水域を保護・保全・管理することを目的として、ウマラ保全地域を設置しました。
この保全地域は、先住民であるバウィナンガ・ホームランズ・アボリジナル・コーポレーション(BHAC)及びINPEX Australiaの協働により設けられたもので、先住民の基本的な文化的権利と責任を尊重し、協働と相互尊重を基盤としているものです。
ウマラ保全地域は、当社グループが主導するイクシスLNGプロジェクトに係る環境承認に基づき求められる生態系の保護・管理を目的として、以下の取組みを行います。
- 指定種及びその生息環境の保護・保全・管理
- 指定種及びその生息環境に対する脅威の把握、管理及び軽減
- ウマラの伝統的所有者に対する文化的・生態的・雇用面での機会の拡充
- 管理及び意思決定のあらゆる側面において、ビニンジ文化を中核に据えること
- 文化的価値及び自然的価値の保護と尊重
- バウィナンガ・レンジャーに対する教育機会及び資源の提供
ウマラ保全地域は、生物多様性、文化遺産、保全科学の拠点として、ビニンジの人々が祖先から受け継いできた土地や水域との健全で強い関係が保たれる場となることを目指しています。INPEX Australiaのコーポレート担当シニア・バイス・プレジデントであるビル・タウンゼントは、次のように述べています。
「イクシスLNGプロジェクトがもたらす多くの恩恵の一部がこの地域にも行き渡り、環境と地域社会の双方に真にポジティブな影響を与えることを思うと、大きな誇りを感じます。」
また、BHACのCEOであるキーラ・バーク氏は、このパートナーシップの重要性について次のように述べています。
「このパートナーシップは、これまでに例のない成果であり、先住民、BHAC、そしてINPEX Australiaとの強固な関係があってこそ実現したものです。真に意義のある取組みを成し遂げ、長期的でポジティブな影響をもたらすことを示しています。」
近年、INPEX Australiaの環境アドバイザーであるチャールズ・ダーウィン大学(CDU)の研究者、ならびにBHACのレンジャーは、アーネムランド北西部において現地調査を実施してきました。その結果、北部準州では20年以上確認されていなかったウォーター・マウスをはじめ、キタオオフクロギツネザルや、マングローブ・オオトカゲ、メルテンス・オオトカゲ、ミッチェル・オオトカゲなど、複数の種が確認されました。
さらに、先住民、CDUの研究者、レンジャーとの協働により、植生や文化的に神聖な場所のマッピングが行われ、文化的知見を反映した野焼きのカレンダーが作成されました。これにより、伝統的な火入れの手法が回復され、生物多様性の保全が進められています。また、新たに特定された11か所の神聖な場所が、アーネムランドに登録されることになりました。
ウマラ保全地域の管理計画は、先住民の文化的知識を基盤とし、INPEX Australia、BHAC、CDUとの協働により策定されました。本計画では、環境及び文化の保全を最優先としつつ、先住民やレンジャーに対する雇用及び教育の機会の創出も重視しています。
ケーススタディ2:ララキア・イクシスLNG・ファウンデーション・トラスト(LIFT)
2018年に設立されたララキア・イクシスLNG・ファウンデーション・トラスト(LIFT)は、オーストラリアにおいて、先住民と開発業者との間で、先住民土地権法制の枠外で締結された初の取組みです。INPEX Australiaが主導するイクシスLNGプロジェクトと、ダーウィン地域の先住民であるララキアの人々との間で締結されたこの合意により、イクシスLNGプロジェクトの操業期間を通じて、ララキアの人々に対し総額2,400万豪ドルの支援が行われることとなりました。
INPEX Australiaにとってこの合意は、ララキアの人々との関係の重要性を認識するとともに、ララキアの次世代の自立とエンパワメントを支え、また支援を必要とする人々を後押ししていくものです。
設立以降7年間にわたり、LIFTを通じ、ララキアの人々の教育やスキル向上の支援から、高齢者に対する重要な支援に至るまで、さまざまなプログラムへの資金提供を行ってきました。2025年時点では、ララキアを代表する団体であるララキア・ディベロップメント・コーポレーション及びララキア・ネーション・アボリジナル・コーポレーションにより、12のプログラムが実施されています。
また、INPEXララキア諮問委員会(ILAC)は、プログラム申請の審査に対して戦略的な助言を行うことで、LIFTの実施において重要な役割を担っています。2025年には、LIFTの開始から5年間の取組みの有効性を精査するため、第三者による評価作業を実施しました。この評価作業では、これまでの成果に加え、改善すべき点も明らかにされています。評価作業で提示された改善点については、ILACの今後の重要課題の一つとして、主要なステークホルダーとの協議を通じ対応していく予定です。
文化遺産の保護
オーストラリアでは、INPEX Australiaが事業活動を行う地域の文化遺産を保護するため、文化遺産管理計画を策定し、実行しています。
イクシスLNGプロジェクト陸上施設においては、建設の初期段階からダーウィン地域の先住民であるララキアの人々の関与を得ながら、周辺地域に存在する考古学的文化遺産への影響を最小限に抑える取組みを進めてきました。併せて、INPEX Australiaが推進する事業についても、引き続きララキアの人々との協議を行い、先住民にとって重要な文化遺産の保護に取り組んでいます。