当社では人権マネジメントの強化を目的として、外部の人権専門家を招き、国内外の拠点を対象とした人権デュー・ディリジェンスを2016年より継続的に実施しています。このデュー・ディリジェンスは「INPEXグループ人権方針」に沿って実施され、当社がオペレーターとして操業するプロジェクト及びノンオペレーターとして参画するプロジェクトの双方を対象としています。対象には、当社が参画するジョイントベンチャーのプロジェクトが含まれます。また、事業活動に関連する人権リスクを踏まえ、金額的影響の大きいサプライヤーについても対象としています。なお、新規プロジェクトへの参入時にもIVAS委員会を通じて人権リスクの評価をしています。

2024年度に実施した人権デュー・ディリジェンスでは、外部有識者の協力のもと石油天然ガス事業及び再生可能エネルギー事業を評価の対象に、当社バリューチェーン全体の人権リスクの評価を実施しました。

デスクトップ調査

SASBやOECDをはじめとする調査機関の文献、国際規範や各種ガイドライン、業界に関する文献調査を行い、人権課題を抽出しました。ビジネス内のリスクを特定するにあたっては、探鉱・評価、開発準備作業・開発、生産、輸送・販売といった当社のバリューチェーン上で影響を受ける可能性のある自社の従業員、女性、子ども、先住民の方々、移民労働者、サプライヤー/コントラクターの従業員、地域社会の人々などのステークホルダーを対象としています。

人権リスク評価の実施

デスクトップ調査で特定した人権課題について優先的に対応が必要な課題(特に顕著な人権課題)を特定するために、人権リスク評価を実施しました。

人権リスク評価の実施方法

人権リスク評価は、デスクトップ調査において特定した人権課題について、影響深刻度と発生可能性の2軸により実施しました。評価実施にあたっては、外部有識者の知見も活用しました。

影響深刻度の評価

以下の3つの項目により、人権課題に関連する事案の影響深刻度を評価しました。

  • 1.
    負の影響の重大性(人権侵害が命に与える影響度合い)
  • 2.
    負の影響の及ぶ範囲(影響を受ける人数)
  • 3.
    救済の困難度(補償による救済可能性)

発生可能性の評価

発生可能性については、国別・業種別のリスク(外部データによるリスクによる評価)、人権課題に関連する事案の発生状況も踏まえた発生頻度、管理体制の整備状況(脆弱性)により評価しました。

アンケート調査の実施

人権課題ごとの管理体制の状況及び事案の発生状況に関するアンケート調査を実施し、管理体制の状況(脆弱性)及び事案の発生状況を人権リスク評価に利用しました。

調査対象

アンケート調査は、当社が事業を行っている以下の対象先に対し実施しました。

  • 全てのオペレータープロジェクト
  • 全てのノンオペレータープロジェクト
  • 金額的影響の大きいサプライヤー

管理体制の脆弱性に関する評価

調査対象先ごとに当社が識別した人権課題を対処するための管理体制の整備状況に関する回答を入手し、管理体制の脆弱性の評価を実施しました。評価結果については、人権リスク評価にあたり発生可能性の評価における考慮要素として利用しました。

実際の事案に関する評価

調査対象先ごとに当社が識別した人権課題に関連して、人権侵害が発生している事象の有無を確認し、事象が発生している場合にはその内容及び対応状況を踏まえ、人権リスク評価にあたり、影響深刻度と発生可能性の評価における考慮要素としました。

人権デュー・ディリジェンスの結果特定された顕著な人権課題

バリューチェーン上の顕在的及び潜在的な人権リスクを評価した結果、当社が優先して取り組むべき人権課題として特定されたものは以下のとおりです。

石油・天然ガス事業の人権課題 再生可能エネルギー事業の人権課題
  • 調達慣行(取引先管理)の徹底
  • 強制労働
  • 労働安全衛生
  • 適切な労働環境(水へのアクセスを含む)
  • 賃金(十分な生活水準を享受する権利)
  • 結社の自由・団体交渉権
  • 先住民族・地域住民の権利
  • 責任ある安全管理
  • 人権侵害への非加担・コンプライアンス・社会保障と公正な競争
  • 調達慣行(取引先管理)の徹底
  • 児童労働
  • 強制労働
  • 労働安全衛生
  • 賃金(十分な生活水準を享受する権利)
  • 結社の自由・団体交渉権
  • 先住民族・地域住民の権利

また、差別の禁止と法のもとの平等、労働時間、人身売買、同一労働同一賃金、女性の権利、プライバシーなど、その他の人権リスク分野についても、リスクの特定・評価プロセスを通じて検討しましたが、当社事業の特徴や地理的特性、すでに実施されているリスクマネジメントなどを踏まえ、当社の顕著な人権リスクとはみなされませんでした。

人権リスクへの対応方針及び人権課題別の対応・軽減策の検討

人権リスクへの対応方針

上記の人権リスク評価結果を受けて、当社として以下の取組みを実施します。

  • 人権課題に対する管理体制と、各課題の発生可能性と影響深刻度を確認し、評価結果を各拠点の担当者にフィードバックした上で、人権方針や内部通報窓口の周知徹底や人権教育の提供などの今後の対応について協議
  • 人権リスクとその対応策について適切に対応するために、人権リスクの定期的な見直し
  • 3年ごとのアンケート調査による人権リスク評価の実施

人権課題への対応策と是正措置の実施

リスク評価の結果特定された顕著な人権課題について、リスクの重要度や各調査対象先における管理体制の整備状況を踏まえ、優先的に対応する人権課題を特定し、対応策を検討しました。

(1)顕在的なリスクが確認された人権課題に対する対応策

2025年度は、現場での作業を原因とする重大な事故が2件発生していることを確認しました。
これらの事案に対しては、被影響者に対する適切な救済措置を講じるとともに、特定された課題に対応するため、プロジェクトレベルで是正措置を実施しました。
また、再発リスクの低減に向けて、現場レベルの管理体制や統制の強化を含む再発防止策を講じました。今後も継続的なモニタリングを実施する予定です。

(2)潜在的なリスクのある人権課題に対する対応策

潜在的なリスクが考えられる人権課題については、リスクの重要度や各調査対象先における管理体制の整備状況を踏まえ、防止策の強化に取組みます。

当社は今後も継続的なモニタリングを実施するとともに、人権デュー・ディリジェンスを通じた人権リスク管理プロセスの更なる強化に取り組んでいきます。

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